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建築教育現場/彦坂美術館の模型(3)(加筆1) [建築]


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アートデザイン遺伝子を組み替える」(長谷川裕子)という
歴史的な変換の中で、
建築とは何か?

いや、それ以上に、アーティストは、
いかにして、この「遺伝子組み換え」に対応して、
広い視野をもって、
建築をも包含して、アートとデザインの問題を直視し得るのか?

こういう問題を考えさせられました。


五十嵐太郎さんの東北大学の学生たちが、
課題制作で取り組んでいる「彦坂尚嘉ミュージアム」の構想は、
最終講評会に行って来ました。

たいへんな力作がそろて、感銘を受けました。
敷地の青山を見学し、さらに、わざわざ藤沢の彦坂尚嘉アトリエまで
来る。
途中では、建築家の新堀学さんが中間講評を行うという事まで
あって、学生たちは真摯に問題に取り組んで下さいました。

この週は、山田幸司さんのお通夜への出席、京都への出張、
そして仙台の東北大学と走り回って、
還暦を過ぎた彦坂さんとしては、ハード過ぎるスケジュールで、
帰って来てからダウン。

それもあって、
この最終報告会のブログアップが遅れてしまって、
申し訳なく思います。

いただいた資料が多いので、
アップすることの出来る範囲に絞ってご紹介して、
私の体験を整理したいと思います。

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さて、彦坂尚嘉の個人美術館の設計です。

個人美術館を設計していただくと言う体験をさせていただいて、
今までにない体験となりました。

ひとつは、若い人の設計を通して、
自分の作品と活動を改めて対象化する機会を与えられた事です。

ラカン理論の建築

その中で一番衝撃を受けたのは、北本直裕さんの建築です。
ラカンの《想像界》《象徴界》《現実界》《サントーム》の4界をもつ
重層的な建築を構想したのです。

五十嵐太郎さんの講評によると、最終スパーとの追い込みがすごくて、
その頑張りで、すばらしい建築構想になりました。

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私自身は、現実には、作品を《想像界》《象徴界》《現実界》
《サントーム》の4種類に作り分けて来たのではありません。
しかしこうした作り分けが必要なのではないのか?
と、改めて考えさせられました。

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普通の人々欲望を欲望する

私たちの生きている社会の80%は、《想像界》だけの人々で
構成されていると、彦坂尚嘉の《言語判定法》の測定では、
仮説できます。

ですからヒットチャートを走ってく様なメガヒットのポップスは、
ほとんどが《想像界》の音楽です。

しかし《想像界》だけの音楽という判断を
それは同一の音楽という事ではないのです。

例えばマドンナの『エロチカ』以降の音楽は、
《想像界》は《第1次元 社会的理性領域》なのです。
一方、U2の音楽は、《想像界》が《第6次元 自然領域》なの
です。
共通するのは、実は《象徴界》が共に《第6次元》である
という事です。

何故に、《第6次元 自然領域》は、80%の人々の
《象徴界=無》の基盤になり得るのか?

それはもちろん人間もまた自然であり、
その生活は《自然的な態度》でされているからです。
その自然的な態度には、《象徴界=無》という構造があるのです。


《自然的な態度》で生きる事が、人間の基本であり、
その場合、《想像界》の眼だけで、世界を見る事になります。
それは直接性の盲目的な世界です。

こうした直接性の盲目的な世界に生きる人々の欲望を、
アーティスト/あるいは建築家という専門家自身の欲望として、
再度取り込むことが出来るのか?


出来ると言えます。

こうした事は、何を意味しているのでしょうか?

建築家というものが、クライアントと向き合うという宿命の中で、
生きているからです。

施主というのは、建築学/芸術学的には生きていないのです。
つまり素人であり、建築/芸術的には《第6次元 自然領域》の
人々です。

この施主という建築学的には素人の欲望を、
建築家は、自らの欲望として模倣しながら、
かつ、建築学的建築を構想するという、矛盾の引き受けこそが、
建築と言う構造であり、設計と言う技術なのです。

つまり《純粋芸術》という概念こそが、
80パーセントの普通の人々の存在と言う現実を切り捨てる《近代個人
主義》の迷妄であったのです。

現実は単純ではなくて、複雑であり、
情報化社会の芸術は、この80%の人々の直接的な生活世界に
欲望を直視するところに成立するのです。

正確に言えば、この80%の多数者の自然的欲望を取り込みながら、
なおかつ、芸術学的純粋芸術/建築を、
同時成立させると言う技術=アート=建築
として、自らを構想する必要があるのです。

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今回の学生たちの構想は、
自分の限界を壊してくれる非常に新鮮な刺激になりました。

私自身は、最初に情報アートという視点で出発するのですが、
それが建築内部のでのフロアーイベントという形で始まる
事もあって、
《建築美術》《流通美術》《情報美術》の重層し、錯綜した
展開をして来ました。

これをいかに回顧し、まとめて行くのか?
極めて至難の業なのですが、
個人美術館の建設と言う構想=空想の中で、
しかも若い学生の頭脳を介する事で、
手がかりをいただけたように思います。

もうひとつは、建築というものを、
設計構想段階から体験させていただいた事です。
以前にも1回、皇居美術館を題材にした五十嵐研の授業で
講評をさせていただいていますが、
その時の戸惑いは大きかったのです。

美術と建築の違いは、講評の場では、ずいぶんと大きくて、
自分の眼の狭さを痛切に感じさせてくれました。
今回はそれが楽になったのです。

その問題の中心にあるのが、実は《非芸術》の問題です。
《非芸術》というのは、デザイン領域です。

デザインというのは、「神が世界をデザインした」という意味の
デザインです。
つまり建築というのは、神のように建築をデザインするという問題が
あって、《非芸術》という芸術についてしっかりと考えていないと
講評も出来ないのです。

さて、パワーポイントの資料をいただいているものを、
まずアップします。
全部アップする時間がないので、
お二人に代表していただきます。

これだけでも、学生たちの思考の一端をお伝えする事は出来ると
思います。


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続いては、チェホンジュンさんのパワーポイントです。

量が多いので、ほんの少し省略しますが、

建築について良く考えていて、評価の高い作品でした。


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さてつづいて、写真を紹介します。
解説を出来ないものが多くて、申し訳ないですが、
学生たちの努力の凄さを見て下さい。

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さて、以下の写真は、別のクラスの作品も合わさっているので、
その作品写真です。

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コメント 1

丈

美術家の場合はクライアントがコレクターという事になると思いますが、
「施主」のように具体的に顔が見えない分難しいですね。
自分の中もつ観客がどのような存在なのか、如何に多くの眼差しを取り込めるかが重要なようですね。
by (2009-12-08 14:23) 

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