1980年〜(1989年)の美術(画像追加2) [アート論]
1975年のアメリカのベトナム戦争敗北によって、自由主義経済圏における《近代》は終わり、《芸術》と《反芸術》の時代は終わって、《無芸術》と《非芸術》の時代となります。
1980年代に入ると、音楽においては《第41次元》の表現が現代音楽でも現れて来て、新しい時代の台頭を示します。しかし日本の現代美術は、イタリアのトランスアバンギャルドやアメリカの女性作家の台頭の影響もあって、女性作家による生理的な装飾的手芸的なものへと退化した《無芸術》の大量の出現として現れます。その代表は吉澤美香で、ドクメンタに出品してその未来を嘱望されますが、芸術的には《想像界》の《第6次元 自然領域》の《無芸術》作品で、あまりに簡便なイラストに過ぎませんでしたが、しかし気体美術=現代アートの軽さがありました。
やや遅れて出発した佐々木薫は、《超1流》の作品を作る事で、この時代の《無芸術》の成果を結晶化します。
一方男性作家では、中村一美などの絵画と、戸谷重雄、遠藤利克、黒川弘毅、中原浩大などの新しい彫刻世代が現れます。戸谷のチェンソーを使った木彫と黒川弘毅のブロンズの金属塊を削りだした彫刻、そして激しいストロークを描いた中村一美の絵画は、3者ともに良く似ていて、《真性の芸術》性をもった《無芸術》作品で、しかも《現実界》の作品ですが、絶対零度の原始芸術へと退化したものでありました。遠藤利克の作品は、《想像界》へと彫刻を還元する方向を示して、この時代の潮流を捉えていたと言えますが、その作品は前近代へと退化した固体彫刻で、しかも《真性の芸術》性を欠いたデザイン的エンターテイメントの《無芸術》作品でしかありませんでした。 一方若い中原浩大は、関根伸夫といった前の世代の作品を下敷きにして、石彫で《現実界》の気体美術を作り出して斬新な展開をしたかに見えたのですが、そのレゴを使った立体作品などは《無芸術》のデザイン的エンターテイメントに過ぎなく挫折して行きます。
1986年のバブル経済の波に乗って、森村泰昌と宮島達男らの《非芸術》がグローバルな美術世界に脱出する事で、国内に閉塞した旧勢力の日本現代美術の退化運動は留めを刺されることになります。
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アート・スタディーズ
『第16回アート・スタディーズ 』へのお誘いです。
11月2日(月)午後6時から京橋のINAX:GINZAです。
1980年代は、ニューウエイブ台頭の時代でした。これは
再度、1995年〜2008年の過剰消費の中で
繰り返されたのではないでしょうか。
ディレクター・彦坂尚嘉
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レクチャー&シンポジウム
20世紀日本建築・美術の名品はどこにある?
第16回アート・スタディーズ
1980年〜1989年「《想像界》の復活とニューウェーブの台頭」
ゲスト講師
【建築】テーマ ポストモダン建築の時代(仮題)
講師 磯 達雄 (建築ライター)
サブテーマ「磯崎新/つくばセンタービル−ラディカルな折衷主義」
講師 浜田 由美(会社員)
サブテーマ「木島安史の時館『堂夢の世界』」
【美術】テーマ 《女性作家の台頭 佐々木薫/超少女たち》
講師 松永 康(アート・コーディネーター)
サブテーマ
「佐々木薫と名品−共時的な視点から」
講師
三上 豊(和光大学教授)
サブテーマ 「雑誌感覚。『美術手帳』1986年8月号特集
〈美術の超少女たち〉の編集をめぐって」
『アート・スタディーズ』とは?
アート・スタディーズは多くの人の鑑賞に資する、歴史に記録
すべき《名品》を求め、20世紀日本の建築と美術を総括的、通
史的に検証、発掘する始めての試みです。先人が残してくれた
優れた芸術文化を、多くの世代の人々に楽しんで頂けるよう、
グローバルな新たな時代にふさわしい内容でレクチャー、討議いたします。
いたします。
◆ディレクター
彦坂尚嘉(美術家、日本ラカン協会会員、立教大学大学院特任教授)
◆プロデューサー
五十嵐太郎(建築史家、建築批評家、東北大学教授)
◆アドバイザー
建畠晢(美術批評家、国立国際美術館館長)
◆討議パネリスト
◇五十嵐太郎(建築史、建築批評、東北大学教授)
◇伊藤憲夫(元『美術手帖』編集長、多摩美術大学大学史編纂室長)
◇暮沢剛巳(文化批評、美術評論家)
◇新堀 学(建築家、NPO地域再創生プログラム副理事長)
◇橋本純(編集者)
◇藤原えりみ(美術ジャーナリスト)
◇南泰裕(建築家、国士舘大学准教授)
◆司会
彦坂尚嘉(アート・スタディーズ ディレクター)
◆年表作成
橘川英規(美術ドキュメンタリスト)
◆日時:2009年11月2日(月)
17:30開場、18:00開始、21:00終了、終了後懇親会(別会場)
(東京都中央区京橋3−6−18/地下鉄銀座線京橋駅2番出口徒歩2分)
(当日連絡先は 090-1212−4415 伊東)
◆定員:60名(申込み先着順)
◆参加費:500円(懇親会参加費は別途)
◆お申し込み・お問い合わせは
氏名、住所、所属、連絡先、予約人数を明記の上、下記e-mailアドレスへ
詳細情報はこちら
HYPERLINK "http://artstudy.exblog.jp/" http://artstudy.exblog.jp/
◆主催 アート・スタディーズ実行委員会
◆共催 リノベーション・スタディーズ委員会
◆後援 毎日新聞社
日本建築学会
日本美術情報センター
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☆「アート・スタディーズ」の詳細及びこれまでの情報
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