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ドゥッチョとチマブ−エ/ゴシック期の絵画 [アート論]

いつも興味深く拝見しています。
以前ドゥッチョの作品に対する彦坂さんのご意見を書かれていたと思うのですが、ジョットやチマブエの作品に対してはどのようなご評価なのでしょうか?
今回の本題とはズレるのですが、西洋絵画の変遷を見ていく際の参考にさせていただければと思い、質問させていただきます。

不適切なコメントでしたら削除してください。

by あいざわさとし (2010-02-18 01:59)  


あいざわさとし様
良いご質問をありがとうございます。
イタリアのシエナのゴシック画家であるドゥッチョ
(1255〜1319年頃)に対する評価は、
私の芸術分析では《超一流〜6流》の重層的芸術として高いのです。

下の作品『ルチェライの聖母は、フィレンツェのウフィツィ美術館に
あって、私も見ています。


Duccio_di_Buoninsegna_009.jpg

ドゥッチョ ルチェライの聖母  ウフィツィ美術館

彦坂尚嘉責任による芸術分析

《想像界》の眼で《超次元〜第6次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《超次元〜第6次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《超次元〜第6次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
固体だけの表現

《シリアス・アート》
《ハイアート》
シーニュの表現

理性脳の表現
《透視画面》『オプティカル・イリュージョン』【A級美術】


原芸術》が有る。

《芸術》《反芸術》《非芸術》《無芸術》《世間体のアート》は無い。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

芸術分析から分かるように、ドゥッチョのゴシック絵画には、
《原芸術》があって、芸術の起源性を示している名作なのです。

しかし、チマブ−エも、区別がつかないほどに同じような宗教画を
描いていますが、《第6次元 自然領域》だけの画家であると
私は判断します。

379px-Cenni_di_Pepo,_dit_Cimabue_-_La_Vierge_et_l'Enfant_en_majesté_entourés_de_six_anges,_1270.jpg

チマブーエ 聖母と天使たち 1270頃 ルーヴル美術館

彦坂尚嘉責任による芸術分析

《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント

《想像界》だけの表現
絶対零度の表現

《シリアス・アート》
《ハイアート》
シーニュの表現

理性脳の表現
《原始平面》『ペンキ絵』【A級美術】


《原芸術》《芸術》《反芸術》は無い。

《非芸術》《無芸術》《世間体のアート》が有る。



チマブ−エ(1240〜1302)は、
ややドゥッチョ(1255〜1319年頃)よりも時代が早いので、
チマブ−エの描いた絵画を、ドゥッチョが真似て、
真似てというよりもコピーと言って良いほどに下敷きにして、
絵画のレベルを上げたのではないでしょうか。

ドゥッチョとチマブーエ2.jpg
チマブーエ《第6流 自然領域》    ドゥッチョ《超一流 超次元》
《世間体のアート》             《原芸術》

絵画のレベルを、チマブ−エの2次元的な原始平面の表現から、
2.5次元的なピクチャー・ボックスといわれる表現へとドゥッチョは、
変えているのです。

マリア様の座っている椅子の表現を見て欲しいのですが、
2次元的な原始平面の表現と、
2.5次元的なピクチャー・ボックスの違いを見て下さい。

ドゥッチョとチマブーエ.jpg
チマブーエの原始平面     ドゥッチョの2.5次元表現
《世間体のアート》         《原芸術》

《世間体のアート》というものは、非常に強力で、
多くの人はチマブーエ的な表現の明快さが好きなのです。

《世間体のアート》は、絵画が2次元で、人間が3次元を生きる事を、
当たり前ととらえて、明快に割り切っている。

ドゥッチェには、人間が3次元世界に
生きていて、しかし絵画は2次元であるということを矛盾として
とらえて、絵画の中にそれを組み立てている。



物事を平明にとらえるのか、解決不能の矛盾を生きる事と捉えるかで、
違うのです。

その根源には、
人間が生きて、確実に死ぬ事を、当たり前と捉えるか、
解決不能の矛盾と感じるかの違いがあります。

どちらで考えるかで、生きる事の意味は違ってくるのです。




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kouichi

はじめまして、更新をいつも楽しみにしております。「美術」の専門教育は受けていない素人です。数年前から「美術」の大きな流れを理解したくwebを彷徨っていたところ偶然「彦坂尚嘉の〈第41次元〉アート」にたどり着きました。(pert1の途中あたりです)記事をさかのぼり読み返し、勉強させていただきました。今回のエントリーもとても参考になりました。体系だった教育を受けていない私のような読者もいると思います。ゴシックからルネッサンス、マニエリスム、バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義、写実主義、アカデミスム、印象主義、象徴主義(間違えていたら申し訳ありません)変遷のキーとなる作品の芸術分析、なぜにそれがエポックであったのかを、お時間の許すときに不定期で構わないので整理して頂けないでしょうか?何年でも待ちます。ジョットの芸術分析も楽しみにしております。一方的な見苦しいお願い心苦しく感じております。 彦坂様のご健康と「気体分子ギャラリー」の益々の発展を祈っております。

(pert1にエントリーされているmagic sam,私も超一流だとおもいます!)


by kouichi (2010-02-20 03:59) 

ヒコ

kouichi様
コメントありがとうございます。
たいへんに大きな宿題をいただいて、感謝します。今、皇居美術館の出版を前に、締め切りで苦闘していますが、日本美術史だけではなくて、世界美術史を問題にする『帝国美術館』という作品も追求しているのです。ですので、この恐ろしい難問の宿題も、取り組んで行きたいと思います。
by ヒコ (2010-02-21 02:37) 

あいざわさとし

早々にご回答がいただけて嬉しい限りです。
ドゥッチョがチマブーエの作品を下敷きにして超次元の作品が作られたとなると、やはりジョットの作品についての彦坂さんのご評価がどうなのかが興味いところです。またいつか取り上げていただけたら嬉しいです。
とはいえ、細かな表現の中の空間に対する姿勢の違いなど、とても参考になりました。
彦坂さんの探求に対する姿勢に畏敬の念を感じつつ、今後もブログを楽しませていただきます。
by あいざわさとし (2010-02-21 04:02) 

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