SSブログ

寿命と変態 [生きる方法]

hyoshi.jpg


『日経ビジネス』という雑誌によると、
企業の寿命というのは、30年だそうです。
この30年の寿命を超えて展開するのには、
変態が必要だという特集号が、
今出ている最新号「不滅の永続企業」というものです。


美術作家の寿命というのも、限りがあって、
私見を申し上げれば、普通は5年、正味3年と、
短いものです。
それはアイドル歌手に似ています。

もちろん5年を過ぎても作家活動は続けていくのですが、
それは低空飛行で、退屈なもので、ただ続いていって、
親しい友人などの少数者がつきあっていくのです。

実は次回のアートスタディーズという20世紀の美術史の検討の
勉強会で、1980年代を取り上げるのですが、
そこで、この1980年代の女性作家の台頭期の最大の勝利者である
辰野登恵子氏を取り上げようとしたのですが、
引き受けてくれる講師が見つかりませんでした。
辰野氏を一番押して、東京国立近代美術館の回顧展を開催した
本江邦夫さんにも、一番にお願いしたのですが、
ご多忙ということで、引き受けていただけませんでした。
その後も、辰野氏を押していた方々や、
女性の講師など、考えられる限りを尽くしたのですが、
みなさんご都合が会わないとか、見ていないとか、
いろいろな理由で引き受けてくださいませんでした。

困り果てて、美術評論家の峯村敏明氏にお電話したのですが、
峯村氏は、辰野氏の作品を、元々評価していなかったとのことで、
断れました。

こうして辰野氏に焦点を結ぶ事は断念せざるを得なかったのですが、
ここで何となく感じたのは、辰野氏が、賞味期限を過ぎて、
作家としては寿命がつきているらしいという空気でした。

けっこうショックの体験で、
人々が時代の変化を感じて、手のひらを返していくという、
そういう冷たさを感じたのです。

もう一つは本江邦夫さんという、
個性の強い学芸員の存在でした。
人間的には私は好きなタイプの方だったのですが、
辰野登恵子だけでなく、黒田アキ、そして大谷有花などを
積極的に押してきて、黒田アキは東京国立近代美術館で
回顧展まで開いています。
そしてまた『色彩と形象のはざま』という歴史的な回顧展を
開かれています。
こうした事が、学芸員という学問の視点から正当で、
公正であったのか、否か?

多忙であられて、アートスタディーズにご出席いただけないのは
止も得ないですが、ぜひ、文章としてご自分のお仕事の回顧と、
総括をお願いしたく思います。

私見を申し上げれば、
本江邦夫氏の活動には、えこひいきが強くて、
公立美術館の学芸員としての公正さに欠けている面が強くあった
と思います。

えこひいきが、いけないとは言い得ないところもありますが、
しかし学問性としての公立美術館での高額の金額を使う学芸員という
面から見て、当然の社会的な責任と、文化的な責任があります。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

断線光ケーブル斎藤義重 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。