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山本藍子の気体分子ギャラリーでの個展 [気体分子ギャラリー]

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山本藍子という日本絵画の新星!
 
村上隆の登場以後の日本画はどうなるのか?
日本画とは何か?ということを、明治期の国民絵画、さらには大日本帝国としての日本画として日本画を考える事を、私はもう止めなければならない。
なぜなら、明治維新以来の日本の近代は1991年に終わったからだ。
この終わりに出現したのが村上隆という日本画家であったとすれば、それは実はポストモダンにおける日本画が、日本画と言う膠絵の具という材料に規定されたものではないということになる。つまり村上隆以降の日本画というのは、日本美術院のような大日本帝国の国民絵画ではないし、そして油彩画に対する膠(にかわ)絵というものではない。加藤周一が嘆いたような日本の絵画が、油彩画=洋画と膠絵=日本画という分裂に見舞われ、日本の絵画そのものが見失われた時代は、終わったのである。つまりポスト村上隆に出現してくるのは、日本画というふるい名称を超えた日本画、つまりそれは日本絵画という、当選過ぎる分裂を乗り越えた日本の絵画なのである。
 
 では、村上隆登場以前の最後の近代日本画とは何であり、そして誰であったのか? 近代という時代の絵画が、純粋美術を追い求め、そしてそれは抽象絵画への道行きであったとすれば、近代日本画の到達点もまた抽象画としての日本画であり、そして抽象画家としての日本画家であった。その一人が日本画の異端児と言われた山本直彰だ。
 山本直彰は1950年横浜市生まれ。1975年に愛知県立芸術大学大学院修了。創画会でデビューして、1992年には文化庁在外派遣研修生としてプラハ滞在している。2004年に練馬区立美術館で開かれた『超日本画宣言――それは、かつて日本画と呼ばれていた』に出品している。さらに2009年には
平塚市美術館で『山本直彰展 ―帰還する風景― 』を開催、そして2010年位は芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している。
 
 こうした抽象画家としての日本画家を父として生まれたのが山本藍子という日本画家なのである。父の山本直彰が、近代日本画家であったのに対して、娘の山本藍子は、村上隆のポスト日本画を引き継ぐポスト村上隆世代の日本画家なのである。そしてこの娘の藍子には、父の異端性と反骨性を引き継いだ奇妙な面白さがある。例えば学生時代に描いた魚の絵がある。それは海の中を泳いでいる魚の絵なのだが、その魚が干物なのである。干物が泳いでいる魚の絵というのは、どこか魚の図鑑のような若冲の絵画の系譜を感じさせるのだが、それ以上に絵画そのもののありように対する画家特有の批評性なのである。それはショートケーキを描いた絵画や、パンツを丸出しにして座るヒロミックスのような自画像や、片岡珠子の面構えのパロディのようなおひな様の絵画にも言える。絵画が絵画でありながら、絵画を批評し、そして絵画に毒を盛り込んだような日本画なのである。
 
 学生時代の日本画作品と、最近作を併置して比較する形で展示を行おうと思っています。一人の美術家のささやかな制作史をとおして、私たちは芸術や美術、そして絵画の可能性を見ることが出来ます。
 
同時開催:彦坂尚嘉の山本藍子ネタの『1円オークション』の作品。
 
 山本藍子のテーマとしているレース模様や、豚の写真を素材にしてシミュレーション作品を彦坂尚嘉が制作しています。そこには単なる摸倣や盗作を超えて、芸術表現の本質が出現しています。特にレースをキャンバスに貼った作品は、彦坂尚嘉の初期作品からフロアイベントに至る時期の作品を彷彿とさせて、彦坂尚嘉自身にとって重要な制作となりました。
 
 豚の目玉を撮った写真作品は、撮影は山本藍子で、この画像を彦坂尚嘉が作品化しています。それは山本藍子の心理に潜む闇を暗示している作品であると同時に、ここでもまた彦坂尚嘉という作家の欲望につながる重要な意味を露呈させます。
 
 諏訪直樹からはじまって、いままで多くの若い作家に関わって来た彦坂尚嘉の、その美術家の探究が、この摸倣/盗作性をはらむシミュレーション制作によって、ステージをアップさせています。他者を見つめる眼差しは、同時に他者の向こうに己自身を見るという鏡像関係であり、それは他者の人間の闇に入ると同時に、自分自身の闇を照らす作業であったのです。

 10年がかりで『空想皇居美術館』という情報美術の作品を出版した彦坂尚嘉は、人生の最終ステージに至って、摸倣/盗作を介して自分自身の制作を露呈させる展開をはじめました。それは、気体分子ギャラリーの意味と方向性をも照らし出します。日本現代美術と現代アートの限界を超えて、孤独に展開するあくなき探究の軌跡は、最後に気体分子ギャラリーでの制作とオークションの連動の中に凝縮されて行くのです。《価格の自由》《批評の自由》《フリーアート》の3位一体の追求が、気体分子ギャラリーです。それは同時に美術家である彦坂尚嘉の制作の探究に結実して行くのです。
 
6月5日(土)に、ささやかなオープニングパーティです。
5日、6日はおりますので、自由においで下さってもよいですが、美術家のやっているオープンアトリエのギャラリーですので、出かけている可能性もあります。他の日はアポイントを取って来て下さい。
 090 1040 1445(彦坂尚嘉)
 


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