来年の予告/栃原比比奈 ジキル&ハイド2重人格展(校正1) [気体分子ギャラリー]
気体分子ギャラリー企画/ギャラリー山口協賛巡回展
栃原比比奈の
ジキル&ハイド2重人格展
Webギャラリー
2010年1月2日(土)〜31日(日) 於:気体分子ギャラリー
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リアル巡回展
2010年1月2日(土)〜30日(土)
於:気体分子アトリエ
藤沢市亀井野3-23-11
2010年1月25日(月) 〜30日(土)
於:ギャラリー山口 B1F
東京都中央区京橋3-5-3京栄ビル
【プレスリリース】
栃原比比奈の初個展です。
栃原比比奈は1977年3月3日生まれです。雛祭りの起源といわれるものに「比比奈遊び」というものがあって、栃原は3月3日の雛祭り(ひなまつり)に生まれたので、比比奈(ひいな)という名前を親に付けられたのでした。
1997年に多摩美術大学絵画科油画に入学して、
大学4年生の2000年から中野区の知的障害者施設でスタッフとして働き、ダウン症や自閉症、重度の知的障害者などが絵を描くプロセスとその作品の研究しています。
この研究は2001年に多摩美術大学を卒業しても2003年まで続いていますが、これら知的障害者の絵画には、障害ごとに共通する構造的な特徴が現れている事を発見し、この発見で、ひとつの結論に達して研究を終えます。
栃原比比奈の作品にある「できやよい」や「草間彌生」といった《ヤヨイ系》の感覚は、この《知的障害者》の美術に芸術の根拠を見る試みをくぐっているところにあると言えるかもしれませんが、向う方向は《ヤヨイ系》とは反対の《正気》に芸術の根拠を見いだして行く運動に反転したのでした。
ですから栃原比比奈の点描を執拗に打つ事で成立する絵画は、「草間彌生」的というよりは、新印象派のジョルジュ・スーラや、日本でスーラの影響ではなく独自に点描画法に達した岡鹿之助の系譜と言うべきものです。
そこには自らの比比奈という名の起源である「比比奈遊び」という、男雛と女雛をくっつける遊びが持つ性的な連想が顔を覗かせるのですが、同時に非在感や非実体性を持っていて、現代的な空無の感覚があります。
一方、栃原比比奈は、大学卒業後に文房具などステイショナリーグッズの会社であるSan-X/サンエックス(株)に、キャラクターデザイナーとして入社するのです。
今回出品するCOCKY(コッキー)は、入社試験のための作品として生み出されたキャラクターでありました。
COCKYは、臼井儀人の『クレヨンしんちゃん』や、駅型ショッピングセンターの株式会社ルミネのキャラクターである「ルミ姉」を連想させる、ネガティブ・キャラです。
COCKYは入社した当時のSan-Xの常務取締役であった片桐 勇氏に評価されて、栃原はSan-Xに入社することになるのですが、COCKYは、そのあまりのネガティブ・キャラのために、商品としては実現されずにお蔵入りになりました。
それもあって2年10ヶ月でSan-Xを退社して、油彩画家としてのデビューを目指す事になります。
今回の初個展では、点描画法による作品群と、COCKYというキャラクター絵画という2種類の作品を、同時に発表するものです。それは栃原比比奈が、ロバート・ルイス・スティーヴンソンジの『ジキル博士とハイド氏』という小説にあるような善人と悪人の2重人格者/解離性同一性障害者であることを示しているのかもしれません。