建築教育現場/個人美術館の模型 [建築]
* 断面的に斜めの壁により、展示室を構成。
*こうきょびじゅつかこの他、巨大な皇居美術館を帝国美術館(?) が段階的に成長し、
覆い隠していく棟も計画中。
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川崎さんのプラン、大きそうですね。
壁が斜めですから、壁掛けの作品の掛け方を考えなければなりませんね。
作品を壁に付けるように、伝統的に考えて来た私の作品観というのは、
組み替えなければならないのかもしれません。
模型の精度が荒いので、良く分かりませんが、
作品展示を組み込んで、考えて下さるとありがたいです。
つまり伝統的な垂直の壁というのも、
美術館には必要なので、両方を考えて下さい。
* 地階を「象徴界」、1 階を「想像界」、浮いたヴォリュームの2 階を「想像界」と
捉え、各「界」に合わせた作品を展示。
*青山のショーウィンドウからヒントを得て、ガラスの壁面を平面的に何層にも重ね、
視覚効果を狙う。
*地階と浮いたヴォリュームが主要な作品展示空間。地階は3層吹き抜けで、
GL から見下ろせるような展示。
北本さんの《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ
重層的な建築というのは、コンセプトとして新鮮です。
私は、作品を《想像界》《象徴界》《現実界》に分離しては作ってこなくて、
むしろ統合を目指し、多様なものの重層的な表現を追求して来ました。
それが出来るようになると、
逆に、北本さんのプランのように、3界に分離する必要が見えて来ます。
なぜなら、人間は必ずしもラカンの言うようには3界を
合わせ持った人格者というのは、少ないからです。
《想像界》《象徴界》《現実界》の3界に美術館の階層があれば、
各自、好きな所に行って鑑賞することができます。
そういう意味では、統合されたサントームの階も作って下さると
良いと思います。
つまり4層の美術館です。
* 最厚1mの厚いかべに溝のような開口を開けることより、薄い壁ではできない展示室
内の関係性を生み出す。
*壁は平面的に斜めに構成。
*壁面をしっかり閉じないことで、青山の人々にとっての散歩道になるような空間を
めざす。
青島さんのコンセプトは、今ひとつ私には理解できませんが、
1メートルの厚い壁というものが、どのような空間をつくるのか?
興味深いです。
美術館に限らないですが、情報化社会の建築というのは、
管理社会特有のセキュリティの問題があります。
五十嵐太郎さんが書いている『過防備都市』という問題です。
つまり現実に、セキュリティを放棄できない事情が美術館や
ギャラリーにはあるのです。
越後妻有トリエンナーレの蔡國強のドラゴン美術館のような、
無防備美術館を構想することも可能ではありますが、
そうであるなら、過防備地区と、無防備地区との2重性の
ある建築は、あり得るかもしれません。
金沢21世紀美術館には、こうした2重構造性の萌芽があって、
それが開放感を生んでいましたから、
その更なる展開は、ありえるでしょうね。
それこそ無防備地区は、作品を好きに持って行けるということも
あって良いかもしれません。
*美術館の一部を爆破することにより、エントランスを生成。爆破が開館の合図。
*いくつものエレベータ内に作品を展示、エレベータに乗り込むと大きな展示空間や
マンションの一室など、様々な空間に移行。
*屋根は曲面ガラスによる大屋根で構成。
三浦さんのプランは、爆破とか、曲面ガラスの大屋根とか、
派手ですね。
エレベーターに作品を展示というのも、面白いアイディアですね。
展示というよりもインスタレーション作品にするのでしょうね。
*浮島がいくつも浮かんでいる一室の展示空間。
*作品を見渡せるように( ? )、巨大な半円の壁面に平面作品を一同に並べる。
三木さんの、浮き島の様な展示スペースというのも、
私の考えつかない事です。
台座部分が過剰化した美術館建築というのは、あり得るでしょうね。
しかし、同時に、まったく普通のニュートラルな展示スペースも
合わせて持っている事が必要です。
巨大な半円の壁面というのも、
実は伝統的な作品というのは、円形の壁面に対しては制作時に
考えていないので、
旧作を展示する普通のフラットな平面の壁面も、合わせて持っている
そういう2重性が必要です。
*皇居美術館のヴォリュームを巨大化→反転させ、それ自体を美術館とする、
中央のヴォイドに皇居美術館を抱えるという美術館。
*直方体の外壁は帝国美術館をイメージ。
皇居美術館を中心に据えるというのは、
良いですね。
それは新鮮です。
彦坂尚嘉の皇居美術館は、あくまでも建築模型彫刻ですので、
それが、ある意味での中心と考えて、彦坂尚嘉の作品全体を
とらえるというのは、考えてみる値打ちがあります。
*みずからの尾を加える「ウロボロス」から着想をえて、分棟配置された展示室を
チューブでつなぎ、来館者を一周させる。
*曲面で掘り込まれた部分は新人アーティストや彦坂さんの制作場所や展示場所。
来館者はそこへは行けない。
来館者はそこに行けないというのは、
透明な壁面で区切った場合には、2重性があって、
行けないと言う面と、解放されて見えると言う面とありますね。
せんだいメディアテイクの透明な壁面の開放性と過剰性は、
新鮮でしたので、そういう構成はあり得るでしょうね。
*青山のショーウィンドウ性に着目。都市区画の延長として展示室のヴォリュームを
構成。
*24 時間楽しめる美術館。例えば右の画像の展示室では、黄色の線で書かれた部分に
ガラスが入るが、営業後でもガラスの外から
展示が楽しめるウィンドウショッピング的美術鑑賞体験ができる。
チェホンジュンさんのショーウインドウ型の美術館というのは、
新鮮だと思います。24時間見られるというのも、
この現代の不眠都市現状を体現していて面白いと思います。
展示替えは、重要になるので、
その辺を、何か考える必要がありますね。
ガラス面も曲面や波形というのもあり得ますね。
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彦坂尚嘉は11月24日に仙台に行きますが、
その前の17日には、建築家の新堀学さんが、行って下さって、
途中の講評をしてくださいます。
それもあって、先日、新堀さんはわざわざ藤沢まで来て下さって、
私と打ち合わせをして下さいました。
美術館建築というものの伝統性を知らない学生の斬新さを評価する面と
《近代》の集約としての美術館システムを学習する問題の
2重せいがあるという、その辺の案配の問題でした。
美術館というのは、単なる展示スペースではなくて、
実は収集と保管を基本に、学術的な研究の場所であったのです。
彦坂的には、パリのピカソ美術館が楽しかったという、
思いがあります。
あれは古いお城のリノベーションでした。
新築美術館が、斬新さと、学問の場としての伝統性とを
合わせ持つものであって欲しいと思います。
採光と、耐光性、空調、収納庫、学芸員室、図書館、
情報検索システム、そして他の美術館やアーティスト、
そして観客、さらには市場とつながった情報有機体として美術館を
構想するアーキテクチャーが必要なのです。
今日の複雑さは、人類史上ないものです。
それを少しでも考えて下さればと思います。