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佐々木薫/超1流の《無芸術》と宗達なるもの [アート論]

 佐々木薫という作家は、1980年代の超少女と言われる《無芸術》時代様式を、ある意味で集約して《超1流》の作品に結実したアーティストです。

 その最初は、多摩美術大学での1981年制作の具象画ですが、指導教授は宮崎進で、ここでもすでに固有性のある《一流》絵画で《芸術》作品を描いています。その後エリザベス・マーレーの影響を思わせる生け花の様な彩色された樹木作品を作りますが、ここですでに《超1流》の良い作品になっていますが、それは手芸性や装飾性を持つ《無芸術》と言うべき秀作です。《無芸術》の作品というのは、美術史上にはいくつもりますが、宗達やアンリールソー、そしてマティスなどの作品です。そこでは官能性に対する大脳皮質的な抑圧が無くて、官能に対して肯定的な美術なのです。

 1986年前後から木枠に張らないキャンバス地の上に中国紙を貼って整形した、有機的なフォルムの外形をもつシェエイブドキャンバスの大型のレリーフ作品を連作して行きます。これらも《無芸術》で、この時代の超少女とか、工作少女といわれた時代の表現様式と質を、高度な《超1流》の作品にまで高めて、しかも現在も保存しています。多くの作品が《6流》で、しかも保存されているものが少ない中で、注目すべき作家なのです。


佐々木薫.jpg

 

 しかし1989年からの作品は、視覚的には類似していますが《反芸術》作品に変貌して1995年まで制作されます。2000年代になると、白いインスタレーションに大幅にスタイルを変えるのですが、そこでは大脳皮質的な抑圧の精神が作動していて《芸術》作品になっています。つまり初期の1981年に《芸術》作品から出発して、《無芸術》作品で1980年代美術の結晶化した作品を作りながらも、《反芸術》に移行して、最後に再び《芸術》作品に回帰しているのです。こうした1980年代の美術作品の変貌は、アメリカの画家テリー・ウインタースにも見られるもので、1980年代という時代の変動性を体現したものだからだと思います。

 回顧してみれば、1980年代様式を結実した宗達的とも言える《超1流》の《無芸術》作品が印象にのこるものであり、歴史的に意味のある作品だと思います。この展開を計るには、しかし《無芸術》だけでは無理で、ジェフクーンズに見られるように《無芸術》《非芸術》《反芸術》《芸術》の4つを統合した、高度に複雑な作品形成に向かうべきなのです。


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アート・スタディーズ



『第16回アート・スタディーズ 』へのお誘いです。

11月2日(月)午後6時から京橋のINAX:GINZAです。


1980年代は、ニューウエイブ台頭の時代でした。これは

再度、1995年〜2008年の過剰消費の中で

繰り返されたのではないでしょうか。


              ディレクター・彦坂尚嘉


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レクチャー&シンポジウム

20世紀日本建築・美術の名品はどこにある?

第16回アート・スタディーズ 

1980年〜1989年「《想像界》の復活とニューウェーブの台頭」



ゲスト講師


【建築】テーマ ポストモダン建築の時代(仮題)


   

    講師  磯 達雄 (建築ライター)

        サブテーマ「磯崎新/つくばセンタービル−ラディカルな折衷主義」

        

    講師  浜田 由美(会社員) 

        サブテーマ「木島安史の時館『堂夢の世界』」


【美術】テーマ 《女性作家の台頭 佐々木薫/超少女たち》

           

    講師  松永 康(アート・コーディネーター)

        サブテーマ

        「佐々木薫と名品−共時的な視点から」

   

   講師

  

    三上 豊(和光大学教授)        

    サブテーマ 「雑誌感覚。『美術手帳』1986年8月号特集

          〈美術の超少女たち〉の編集をめぐって」


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『アート・スタディーズ』とは?

アート・スタディーズは多くの人の鑑賞に資する、歴史に記録

すべき《名品》を求め、20世紀日本の建築と美術を総括的、通

史的に検証、発掘する始めての試みです。先人が残してくれた

優れた芸術文化を、多くの世代の人々に楽しんで頂けるよう、

グローバルな新たな時代にふさわしい内容でレクチャー、討議いたします。

いたします。


◆ディレクター

彦坂尚嘉(美術家、日本ラカン協会会員、立教大学大学院特任教授)

◆プロデューサー

五十嵐太郎(建築史家、建築批評家、東北大学教授)

◆アドバイザー

建畠晢(美術批評家、国立国際美術館館長)

◆討議パネリスト

◇五十嵐太郎(建築史、建築批評、東北大学教授)

◇伊藤憲夫(元『美術手帖』編集長、多摩美術大学大学史編纂室長)

◇暮沢剛巳(文化批評、美術評論家)

◇新堀 学(建築家、NPO地域再創生プログラム副理事長)

◇橋本純(編集者)

◇藤原えりみ(美術ジャーナリスト)

◇南泰裕(建築家、国士舘大学准教授)

◆司会

彦坂尚嘉(アート・スタディーズ ディレクター)

◆年表作成

橘川英規(美術ドキュメンタリスト)

◆日時:2009年11月2日(月)

17:30開場、18:00開始、21:00終了、終了後懇親会(別会場)


(東京都中央区京橋3−6−18/地下鉄銀座線京橋駅2番出口徒歩2分)

(当日連絡先は 090-1212−4415 伊東)

◆定員:60名(申込み先着順)

◆参加費:500円(懇親会参加費は別途)


◆お申し込み・お問い合わせは

氏名、住所、所属、連絡先、予約人数を明記の上、下記e-mailアドレスへ

art_studies2004@yahoo.co.jp


詳細情報はこちら

 HYPERLINK "http://artstudy.exblog.jp/" http://artstudy.exblog.jp/


◆主催 アート・スタディーズ実行委員会

◆共催 リノベーション・スタディーズ委員会

     

◆後援 毎日新聞社

    日本建築学会

    日本美術情報センター



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

☆「アート・スタディーズ」の詳細及びこれまでの情報

http://artstudy.exblog.jp/

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名品とは何か? ポストモダンの考察 [アート論]

名品とは何か? ポストモダンの考察

 

 1975年/1991年と2度の終焉をへて、《近代》という時代は完全に終わったのです。そのときに出現したのは、《芸術》《反芸術》というペアーで展開して来た大文字の芸術の終焉状況でした。

 驚くべき量の《無芸術》と《非芸術》が出現して来ます。しかもそれらは「芸術の名」において跋扈したのです。人々は熱狂して向かい入れて、しかし1980年代の美術作品の多くが淘汰されて消えました。特に《無芸術》という装飾や手芸、そして性的な官能性といった原始的な欲動を肯定した美術が、時間の中で飽きられて急速に消費されていったのです。しかし美術界の中での制度的名声を得たものは、美術市場での人気を得て評価を続けたものもあります。

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 アメリカ美術で見ると、1980年代で生き残ったのはシンディ・シャーマンと、ジェフ・クーンズ、そしてゴーバーと言われます。とりあえずこの俗論を仮定として受け入れると、この3人のアーティストに共通しているのは、《無芸術》《非芸術》《反芸術》《芸術》という、芸術の4分裂をすべて統合して同時表示して持っている事です。つまりポストモダンという情報化社会の中での名品というのは、こうした芸術の高度な統合という関係性を成立させるサントームを形成し得た作品なのです。

 芸術は、時代の中で分裂解体して《無芸術》《非芸術》《反芸術》《芸術》の4つに分かれたのですが、しかしその新たな統合化もまた形成していると言う事実を見損なうと、芸術のデザイン化や簡便化だけに眼を奪われることになります。エジプトに遡る古代芸術から、今日に至るまで、芸術は常に解体崩壊を繰り返しながらも、高度で複雑な統合性を実現するサントームの精神によって成立して来ているのです。

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1980年〜(1989年)の美術(画像追加2) [アート論]

 1975年のアメリカのベトナム戦争敗北によって、自由主義経済圏における《近代》は終わり、《芸術》と《反芸術》の時代は終わって、《無芸術》と《非芸術》の時代となります。

 1980年代に入ると、音楽においては《第41次元》の表現が現代音楽でも現れて来て、新しい時代の台頭を示します。しかし日本の現代美術は、イタリアのトランスアバンギャルドやアメリカの女性作家の台頭の影響もあって、女性作家による生理的な装飾的手芸的なものへと退化した《無芸術》の大量の出現として現れます。その代表は吉澤美香で、ドクメンタに出品してその未来を嘱望されますが、芸術的には《想像界》の《第6次元 自然領域》の《無芸術》作品で、あまりに簡便なイラストに過ぎませんでしたが、しかし気体美術=現代アートの軽さがありました。

 

01.jpg
吉澤美香《無題(茶だんす)》 1982年 千葉市美術館蔵


 

やや遅れて出発した佐々木薫は、《超1流》の作品を作る事で、この時代の《無芸術》の成果を結晶化します。

 

 

佐々木薫.jpg
佐々木薫 1989年

 

 

 

 一方男性作家では、中村一美などの絵画と、戸谷重雄、遠藤利克、黒川弘毅、中原浩大などの新しい彫刻世代が現れます。戸谷のチェンソーを使った木彫と黒川弘毅のブロンズの金属塊を削りだした彫刻、そして激しいストロークを描いた中村一美の絵画は、3者ともに良く似ていて、《真性の芸術》性をもった《無芸術》作品で、しかも《現実界》の作品ですが、絶対零度の原始芸術へと退化したものでありました。遠藤利克の作品は、《想像界》へと彫刻を還元する方向を示して、この時代の潮流を捉えていたと言えますが、その作品は前近代へと退化した固体彫刻で、しかも《真性の芸術》性を欠いたデザイン的エンターテイメントの《無芸術》作品でしかありませんでした。 一方若い中原浩大は、関根伸夫といった前の世代の作品を下敷きにして、石彫で《現実界》の気体美術を作り出して斬新な展開をしたかに見えたのですが、そのレゴを使った立体作品などは《無芸術》のデザイン的エンターテイメントに過ぎなく挫折して行きます。

 1986年のバブル経済の波に乗って、森村泰昌と宮島達男らの《非芸術》グローバルな美術世界に脱出する事で、国内に閉塞した旧勢力の日本現代美術の退化運動は留めを刺されることになります。


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中原浩大の『アートの格付け』 [アート論]

アートスタディーズで1980年代を取り上げるので、
簡単にですが、中原浩大の作品を『アートの格付け』しておきます。

中原浩大については坂上しのぶさんの研究で、
かなりいろいろな秘密が分かって来ていて、
引き込み線のカタログを面白く読ませてもらっていますが、
ここでは論じる事は、時間の関係からもできません。

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《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント

《現実界》の作品、気体美術。

《気晴らしアート》《ローアート》
シニフィエ(記号内容)の美術。
《原始立体》【B級美術】

《無芸術》

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

このレゴの作品は、大きな衝撃を与えた中原の代表作のひとつですが、
芸術分析的には《6流》のデザイン的エンターテイメントに過ぎません。
《気晴らしアート》であって、《ローアート》であることで、
多くの人に喜ばれたのですが、低いものです。

しかし《現実界》の作品で、しかも気体美術であったこと、
さらにシニフィエの美術であるということが、
新しい現代アートを感じさせたのでした。

しかし、それ以上の内実を欠いていた故に、
アーティストとしては、腰砕けになっていきました。

この時代の《無芸術》の魅力と、弱さを象徴する作家でありました。



090530.jpg

《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント

《現実界》の作品、気体美術。

《気晴らしアート》《ローアート》
シニフィエ(記号内容)の美術。
【B級美術】

《無芸術》

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《想像界》の眼で《第6次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント

《想像界》の作品、液体美術。

《気晴らしアート》《ローアート》
シニフィエ(記号内容)の美術。
《原始平面》【B級美術】

《反芸術》

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

彦坂尚嘉の《言語判定法》で見ると、中原の平面作品は、立体作品とは、
ずいぶんと違うのです。
まず立体が《現実界》の作品であったのに対して《想像界》の作品に、
なっています。
立体が気体美術であったに対して、平面は液体美術になっている。
そして立体が《無芸術》であったのに、平面は《反芸術》になっている。

自分で分析しておいて言うのも何ですが、
この違いには驚かされて、「ほんとうだろうか?」と、
何回かやり直してみましたが、
これ以上に確認しようとすると、本物を見て芸術分析をする必要があります。

タグ:中原浩大
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《無芸術》(加筆1) [アート論]

《無芸術》というのは、人間の官能への欲望を、
抑圧しないで成立させた表現の世界です。

つまり大脳皮質の抑圧が機能していない表現なのですが、
作品そのものに、官能性があるので、
この《無芸術》を、多くの人々は芸術作品として評価しています。

ティツアーノ、ゴヤ、マチス、アンリールソー、宗達など、
そうそうたるアーティストが《無芸術》の作家です。

しかしラファエロは、《無芸術》ではなくて、
《芸術》です。
《芸術》作品としてラファエロを見ると、
その美しさを、改めて見直すものとなります。
つまり大脳皮質による抑圧を持った作品が《芸術》です。

この《芸術》は、ある意味で《近代》において特化されたのです。

ポスト・モダンとなって、《芸術》の時代が終わった時に、
この《無芸術》の大量登場が起きました。

《無芸術》こそが、今日では芸術と信じられるようになったのです。
しかし1980年代、その百花撩乱の《無芸術》の多くは、
あっという間に、淘汰されたのです。

タグ:《無芸術》
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《非芸術》という領域(加筆3) [アート論]

《非芸術》というのは、
文字通り、芸術にあらざる領域で、
普通の日常世界です。

私たちは日常に生きているのですから,
つまり《非芸術》の領域に生きています。
つまり《芸術》の中に生きているのではないのです。

日常世界がすべてであるというのが、
基本なのです。
日常というのは、何よりも超越性が無いということです。
しかし、本当に超越性が無いと言い切れるかというのは、
疑問です。

例えばマックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(1904年-1905年)が解き明かしたように、西洋近代の資本主義を発展させた原動力は、日常の労働とビジネスの実践を通して神への信仰を実現するプロテスタント的宗教倫理から産み出された世俗内禁欲を追求する運動と、生活合理化への追求であったのです。

ビジネスを成立させた資本主義の「精神」とは、単なる拝金主義や利益の追求ではなかったのです。合理的な経営・経済活動を支える精神であり、あるいは行動様式であって、その裏にはプロテスタントの、特にカルヴァン主義の禁欲的な教義があったのです。

このような日常の中での宗教的超越性の追求は、実は仏教にもあって浄土真宗や日蓮宗では、基本と言えるものです。それは禅宗にもあって、日常の生活の中に、宗教的な探究を行おうというものです。

(アーティストの場合、この日常性を媒介しての超越の探究と言う基本を失って、日常生活から逃亡して《芸術》の中に生きてしまうのです。少なくとも本物の画家には、そうした傾向があります。それが今日ではマズいのです。) 
ですから常に日常の生活世界へ回帰して、日常の社会の変化を媒介して芸術の探究と言う超越性を考える必要があります。

無媒介的に日常や社会化する事から逃避して、
《芸術》なるものという非日常に逃避して、
閉じこもる事は、間違いです。

しかもそれが、前時代の《古い芸術観》に閉じこもる事は、
間違いなのです。

ヨーロッパにおけるモダンアートの歴史を見れば、
繰り返し新旧論争を繰り返して来ました。
つまり芸術観というのは、繰り返し刷新されるのであって、
この刷新というイノベーションを、アートの問題として
考えないのであれば、それはコンテンポラリーアートとは
言えないものであって、
現代美術を伝統芸術化することになるからです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

とりあえず宗教的な禁欲的な実践の問題をカッコに入れて、
問題にしなければ、
日常世界の特徴は、浅く、短く、薄いことです。

軽薄短小というのは、この日常世界であり、
同時に、そこに住む人間の人格です。
私たちは軽薄短小なのです。
そのことがカルヴァン主義のみならずキリスト教全般にある認識で
あって、人間は神への反逆によって全面的な堕落をしているのであって、
この堕落した矮小な悪の存在が、すべての人間の基本的な性格なのです。

常に、この矮小な自分自身と、
矮小な生活世界に回帰して、
そこから考えなければなりません。

私たちの日常生活も、そして日常の人格も、
この《非芸術》領域の内側にいます。
私たちの存在それ自身は、《芸術》ではないのです。


そして日常とは、カオスとデザインの世界です。
デザインというのは、自然も含みます。

こう言うと異様に思うでしょうが、
「神が世界をデザインした」という言葉があるように、
神がつくった自然というのは、
デザインの世界で《非芸術》の領域です。


つまり私たちはこの軽薄短小な日常の世界に閉じ込められているのです。
日常の牢獄!
この日常の牢獄を《非芸術》と言うのです。
彦坂尚嘉の『アートの格付け』の中では、
とりわけ《第21次元 愛欲領域》というのが、
この全面的な人間の堕落の領域です。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

堕落した矮小な日常世界がすべてなのですが、
この日常の牢獄に徹して生きることによって、
この日常の牢獄に背理することによる脱出を、人間は試みます。
それがカルヴァン主義や浄土真宗、日蓮宗、禅宗に共通する
世俗や日常からの超出の希求なのです。

しかし《近代》になって、
宗教そのものからの離脱が進むと、
芸術が、その超越の方法として登場して来ます。

その試みには3つあったのです。
ひとつが《無芸術》の官能世界です。
二つが《反芸術》の反抗の世界です。
三つめが《芸術》という大脳皮質による抑制の世界です。

そしてこの《無芸術》《反芸術》《芸術》の3つが、
三位一体で、《大芸術》という非日常の構造を作っていたのです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

つまり《大芸術》と《日常》は、2つの別の世界なのです。
少なくとも昔は、この2つは分離されていたのです。
ところがこれが入り乱れて混合された複雑系の状態に
なったのが現在です。

つまり今日では、
日常というのも美術館に持ち込まれて、
《非芸術》という芸術になっています。

つまり《非芸術》が《芸術》とされている時代が、
今日の時代です。
この混合化ということが、
今日の文明の基本的な性格です。

混合される事による、日常の高度化による変質が、
問題の根幹にあるのです。

だからこそ、すべての問題を、再度日常から組み立て直す事が
重要になって来ているのです。

この日常へのすべての還元という事態が、
多くの旧人類にとっては同意できない事なのですが、
そういう抵抗は、私は意味が無いというか、悪だと思います。

日常を再編し、
すべてを日常から始める事。
軽薄短小から、すべてをやり直すという《非芸術》的革命が
進行してきているのです。

それはエジプト以来の人間の文明の根本的な再編過程であって、
文明や文化のすべての転倒化と言えるものです。

つまり日常が《非日常》化しているのが、現在です。

そして《大芸術》が解体され、日常化しているのです。

だから《大芸術》が、《非芸術》へと還元されていく事態が
進行しているのです。

その時に重要なのは、日常の改変の方が、
大切なのです。

徹底的な軽薄短小化のはてに、
新しいリテラシーの世界が始まるのです。

その新しき世界に向けて、舟を走らせ続ける事!




タグ:《非芸術》
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中川翔子 [美人論]

しょこたん 亡き祖父に捧ぐ初武道館

 アイドル・中川翔子(24)が24日、自身初となる東京・日本武道館公演

「超貪欲☆まつり」を開催し、1日に亡くなった祖父・勝夫さんに届けと17

曲を熱唱した。会場には勝夫さんの席を空け、「大事な人との約束の場所です

!!」とオープニングで天を指さしたしょこたん。3日に車にはねられた母・

桂子さんもコスプレ衣装で応援に駆けつけるなど会場には1万人が集結。最後

は涙で声を詰まらせながら、何度もファンに感謝した。


中川翔子(24)は、

日本女性アイドルマルチタレント

ブロガー歌手タレントグラビアアイドル

漫画家声優イラストレーター女優


ブログ『しょこたん☆ぶろぐ』は圧倒的な人気を誇ている。

2006年4月には総アクセス数が1億ヒット、

2007年2月には5億件を突破している。


そういうスーパーブロガーの顔を分析してみます。


17388.jpg
中川翔子の顔
《想像界》の眼で《第3次元》の《真性の人格》
《象徴界》の眼で《第3次元》の《真性の人格》
《現実界》の眼で《第3次元》の《真性の人格》

《現実界》の人格
気体人間
《気晴らし人間》《ローアート的人間》

シニフィエ(記号内容)的人間。

「真実の人」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

第3次元は、コミュニケーション領域です。
しかも《現実界》だけの人なので、
何と言うか、ブレーキの無いコミュニケーション自動車を暴走させ
ている人ということになる。

つまり、人間は《想像界》《象徴界》《現実界》の3界を持つことで、
《想像界》を否定して《象徴界》が生まれ、
《象徴界》を否定して《現実界》が生まれ、
《現実界》を否定して《想像界》が再生するという、
相互否定関係の、自動車のブレーキとアクセルの様な関係に
あるのです。

しかし中川翔子のように《現実界》だけという人は、
ブレーキが無い、アクセルだけの自動車が暴走しているような人。

《現実界》だけの人は、
《想像界》がないので、恥ずかしさと言った感情も薄くて、
そのへんもあって、異様なまでのストレートさがあります。

しかも《3次元・コミュニケーション領域》だけなので、
コミュニケーションだけに暴走が増幅して、
一日のアクセス数が5億件を突破という
驚異のブロガーとなっているのです。

情報化社会特有の、マルチタレントと言えます。
脱帽!

 





 

 


タグ:中川翔子
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