ベネトン再論 [アート論]
トスカーニが様々な場で発言してきた「人間の血は赤く、尿は黄色い、青い液体など使うべきではないし、もっと現実に目を向けるべきだ」という彼の広告制作の基本姿勢をストレートに表現するものでもある。
トスカーニの主張には、
共感するけれども、しかし、人間は現実や、真実を見ようとはしないものなのです。
人間は、自分の見たい物しか見ないと言う事実の中で、
トスカーニのような広告は、広告というよりは、反-広告というべきものと言えます。
私は実はイタリアのベネトンが作っているアートの学校を見に行っています。
建築は安藤忠雄です。
そこには日本人の学生もいました。
一緒に行った人たちは「すばらしい」と賞賛していましたが、
私は、黙っていました。
ベネトンのファッションは、実をいうとあまり好きではありません。
きちんと芸術分析をする意欲もないのですが、
確か《3次元・コミュニケーション領域》であったと思います。
《3次元・コミュニケーション領域》というのは、
キースへリングも同じで、そういう領域、
つまりポップスなのです。
答えは無いと言えますが、
デザインとアートの遺伝子を組み換えるという様な言い方で言えば、
ベネトンの広告を、ある時期、それを象徴する出来事でありました。
それの最良のものを、高く評価する事には賛同します。