ブルース・ナウマン [アート論]
私にとって、ブルース・ナウマンは、アメリカ現代美術の中に、いつもいて、
悪いとは思わなかったですが、
良く分からない作家でした。
芸術分析をしてみると、いわゆる《1流》のアーティストです。
《超1流》ではありません。
《1流》しかないというのが、特徴です。
ロックで言うと、ジャーニーとか、ボストンとか、カーズといった
産業ロックの世界です。
ジャネット・ジャクソンも同様の《1流》だけの《真性の芸術》です。
それに対して安室奈美恵は《1流》のデザインになってしまっている。
この差が、アメリカと日本の差です。
ブルース・ナウマンも、ジャーニーも、ジャネット・ジャクソンも、
《真性の芸術》であるので、悪くは無いのですが、
《第1次元》という社会的理性の領域しかない表現なのです。
芸術産業主義になってしまっている。
社会的理性領域で、芸術が作られている。
今回画像を集めてみて、それでも、
やはり良い芸術家であると思いました。
日本にはこうした《第1次元》の作家で、しかも《真性の芸術》を
つくっている作家が、ほとんど見当たりません。
日本の場合、ほとんどが《第6次元》のデザインワークと、
やはり《第6次元》ですが、原始美術に退化した野蛮美術ばかりだからです。
この野蛮主義は岡本太郎から始まって、日本の敗戦後美術の主流になってしまった。
敗戦によって、野蛮に退化したのです。
そういう日本の《6流》のデザインと野蛮原始主義の両者が嫌な私にとっては、
ブルース・ナウマンは、《1流》の《真性の芸術家》として
輝いて見えました。
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この《1流》を容認することが、
彦坂尚嘉の悪い面とは言えますが、
しかし《1流》という《第1次元》の芸術を正統なものとして肯定しない限り、
全人類の芸術史は、構成できないのです。
私は、その意味で、あくまでも歴史家なのです。