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《超1流》の美術を集める皇居美術館(4) [アート論]

5 中くらいの美術=流通美術=鑑賞芸術

彦坂・《中くらいな絵画》というのは、西洋で言えばレオナルド・ダ・ヴィンチが始めたといわれるタブロー(額の絵画)です。レオナルド・ダ・ヴィンチはモナリザを持って歩いて10年かかって作品を描いているのです。そして運搬できるという事は、実は美術市場=流通に乗るという事ですので、近代になると流通美術になって行く形式です。資本主義時代のモダンペインティングの大半はこの中くらいの「額の絵画」であり、それは流通絵画であったのです。

 東洋ですと、この中くらいの絵画は掛け軸です。加藤周一は、日本の禅宗が衰える、宗教が美術化して禅の美術が成立してくると書いていますが、禅宗の僧侶が床の間に掛けた風景画や禅の先生の肖像画である頂相が、掛け軸のスタイルで、典型的な中くらいの美術であろうと思います。これも運搬できる形で、流通性はあるのです。。

 つまり中くらいのサイズの絵画というのは、壁面に垂直に掛けて鑑賞する鑑賞画なのですが、それは同時に流通美術という移動性を持つものなのです。建築美術というものが、例えば狩野永徳の描いた安土桃山城の壁画が焼けてしまったように、失われるものが多いのですが、中くらいの絵画は流通美術であるので、そのために戦禍を逃れて脱出して生き延びt作品も、建築美術に比して多いのです。歴史的に残りやすいという事で、骨董性をもち、さらに流通しやすさと、この2つが合わさって、鑑賞芸術というものの代表に、この中くらいの大きさの絵画がなって行きます。

肖像画 狩野永徳 織田信長像   (狩野永徳展図録参照) 

水墨画 狩野永徳 芦雁図   京都 大徳寺 国宝

肖像画 伝藤原隆信 源頼朝像   京都 神護寺(京都国立博物館寄託) 国宝

自画像 雪村筆 自賛   奈良 大和文華館 重文

絵画 楊柳水閣図(部分) 雪村筆

絵画 風濤図 雪村筆   京都 野村美術館 重文

絵画 瀟湘八景図帖 遠浦帰帆 雪村筆

絵画 呂洞賓図 雪村筆   奈良 大和文華館 重文

肖像画 一休宗純像   東京国立博物館 重文

肖像画 明恵上人像   京都 高山寺 国宝

絵画  那智滝図   東京 根津美術館 国宝

絵画 恵可断臂図 雪舟筆   愛知 斎年寺 重文

水墨画 雪舟等楊 破墨山水図   東京国立博物館 国宝

水墨画 雪舟等楊 秋冬山水図(冬)   東京国立博物館 国宝

絵画 秋冬山水図 冬景 雪舟筆   東京国立博物館 国宝

絵画 枯木鳴鵙図 宮本二天筆   重文

絵画 枯木鳴鵜図 宮本二天筆   重文

絵画 寒山拾得図 狩野山雪筆   重文

絵画 連鷺図 蕭白

絵画 香巌撃竹図(旧大仙院襖絵)狩野元信筆   東京国立博物館 重文

肖像画 渡辺崋山 鷹見泉石像   東京国立博物館 国宝

浮世絵

浮世絵 歌川国貞 鵯越逆平家落城梶原働図   神戸市立博物館

浮世絵 東洲斎写楽 市川海老蔵の竹村定之進   東京国立博物館 重文

浮世絵 写楽 三世佐野川市松の祇園町の白人おなよ   東京 リッカー美術館

浮世絵 写楽 三代目瀬川菊の丞の田辺文蔵・妻おしず   東京国立博物館 重文

浮世絵 写楽 東洲斎写楽 二世大谷鬼次の奴江戸兵衛   東京国立博物館 重文

浮世絵 写楽 葛飾北斎 諸国滝めぐり 下野黒髪山きりふりの滝   東京国立博物館

浮世絵 葛飾北斎 虎図   太田記念美術館

浮世絵 葛飾北斎 富嶽三十六景 凱風快晴   東京国立博物館

浮世絵 葛飾北斎 富嶽三十六景 神奈川沖波裏   東京国立博物館

浮世絵 葛飾北斎 西瓜図   宮内庁三の丸尚蔵館

 

 

坂上・中くらいの絵画というものが掛け軸であるというのは分かりましたが、そうすると中くらいの彫刻というのは、何なのですか?

彦坂・ハーバードリードによると、それは等身大の人体彫刻です。日本では等身大の仏像と言うことになります。

坂上・しかし仏像というのは礼拝的なものであって、鑑賞芸術ではないのではないですか?

彦坂・そういう疑問はもっともだと思いますが、鑑賞という事自体が、実は礼拝を起源とするようなものであると思います。そこには等身大性が重要なものとしてあるのです。それはラカンが言う鏡像という問題と重なる者なのではないでしょうか。

仏像彫刻 八部衆立像 阿修羅   734年   奈良 興福寺 国宝

仏像彫刻 如意輪観音菩薩坐像   th前半   大阪 観心寺 国宝

仏像彫刻 五大虚室蔵菩薩像   京都 神護寺 国宝

仏像彫刻 伝日羅立像   th中頃   奈良 橘寺 重文

仏像彫刻 騎獅文殊菩薩像脇侍   奈良 安倍文殊院 重文

仏像彫刻 二十八部衆像侍   滋賀 常楽寺 重文

41流仏像 十二神将立像   奈良 興福寺 国宝

41流仏像 雷神像   京都 妙法院蓮華王院 国宝

41流仏像 幸有 初江王坐像   1251年   鎌倉 円応寺 重文

41流仏像 康弁 天燈鬼立像   奈良 興福寺 国宝

肖像彫刻 運慶 無著像   奈良 興福寺 国宝

肖像彫刻 俊乗上人座像   奈良 東大寺 国宝

肖像彫刻 康勝 空也上人立像   京都 六波羅蜜寺 重文

肖像彫刻 法燈国師坐像   和歌山 興国寺 重文

肖像彫刻 日蓮聖人像   東京 本門寺

肖像彫刻 僧形八幡神坐像   奈良 東大寺 国宝



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