西芳寺/夢窓国師の庭1
たとえば自然というのは美しいですが、鑑賞構造を持っていません。
自然は人間が鑑賞することを目的につくられたものではないからです。
しかし、言うまでもなく、人間は大自然を鑑賞するのです。
鑑賞構造というのには《瞑想》《驚愕》《対話》《愛玩》《キッチュ》
《民芸》などの複数の種類があって多様なのですが、
庭園というものの多くは、《対話》という鑑賞構造を組み込んだ自然なのです。
つまり野山にある自然と、庭園に見られる自然の差の中に、
《対話》的鑑賞構造の有無の差があるのです。
幾何学的デザイン性の強いフランス式庭園やイタリア式庭園などの
整形式庭園に対して、
広大な苑池から構成されるイギリス風景式庭園や和風庭園が
いくら自然の景観美を追求した自然性を持っていても、
ここには鑑賞構造という人工性があるのです。
手を加えない無垢の自然が《第6次元 自然領域》でしかないのに対して、
草取りをはじめとした手入れを必要とする優れた自然美の庭園の多くは
《第一次元 社会的理性領域》であるのです。
《第1次元 社会的理性領域》の多い日本庭園の中にも、
《超一流》の《超次元》の庭園があります。
そのひとつが西芳寺の苔庭です。
夢窓疎石(夢窓国師)がつくった名園です。
西芳寺庭園
彦坂尚嘉責任による芸術分析
《想像界》の眼で《超次元〜第6次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《超次元〜第6次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《超次元〜第6次元》の《真性の芸術》
《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な表現
《シリアス・アート》。
《ハイアート》。
シーニュの表現。
理性脳の表現。
【A級美術】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《原芸術》、《芸術》、《反芸術》、《非芸術》、《無芸術》
《世間体のアート》の全てがある。
禅は六流と判断される事が比較的多かったですが 夢窓国師は違うのでしょうか..
書を含めて判定をお願いしたいと思いますが 夢窓のライバルであった大燈国師の書も気になるところです。
禅の書は白隠のように六流になっていくものかどうか
作庭ならなぜ一流から超一流が出現するのか気になります。
by キタムラ (2010-03-21 00:43)
武田信玄の菩提寺で,快川国師もろとも織田軍の焼き討ちで焼失した
恵林寺が山梨の塩山駅近くにあります.母の実家近くに位置するので,
何度かここを訪れたことがあるのですが,庭園の木々や石組みが
古池とあいまって独自な瞑想空間をつくり出していて惹き付けられました.
調べたところ作庭家は夢想国師とあり納得しました.おそらく京都西芳寺
のさきがけとも言える作品ではないでしょうか.この庭園は江戸時代の
諸大名が造営した豪華なものとは程遠いのですが,この庭の中を
月夜に歩くともなく逍遙することを誘うような雰囲気があります.
名月や池をめぐりて夜もすがら(芭蕉)
参観料をとり,寺の本堂を観光紙芝居の場にしているような現状では
それは望むべくもないのですが,夢想国師の意図するところは見ての
楽しみを越えて庭園を廻る人格全体の高揚に有るのではないかと
妄想したりしています.
ついでに少々暴走するのですが,建築家は庭園というのをどの程度
建築物と不可分のものとしてとらえているのでしょうか.建築外空間,
さらにはそこから広がる世界との連結の認識についてです.建造物への
熱中と比較し,庭園への関心の低さをしばしば感じる時があるのですが.
by symplexus (2010-03-21 15:13)
キタムラ様
興味深いご指摘、ありがとうございます。夢窓国師の書は、《想像界》《現実界》は《超1流》から《6流》までありますが、《象徴界》は《第6次元 自然領域》で《6流》です。
大燈国師の書は《想像界》《象徴界》《現実界》の3界すべてが《第1次元 社会的理性領域》
から《第6次元 自然領域》まであります。単純化して言えば、大燈国師の書は《1流》です。
「作庭ならなぜ一流から超一流が出現するのか」というご質問は、すぐれた問いだと思いますが、自然そのものとの格闘としての作庭は、やはり人工性が重要で、自然である《第6次元 自然領域》を抑圧せざるを得ないのではないでしょうか。
by ヒコ (2010-03-24 02:10)
symplexus 様
コメントありがとうございます。
恵林寺に行ってみたいですね。次回ご訪問させていただく時に、是非ご一緒して下さい。
建築家と庭ですが、丹下健三の香川県旧庁舎などには、庭までも建築として捉える視点があります。屋上にも苔による屋上庭園があって、優れています。
by ヒコ (2010-03-24 02:17)
それは楽しみです!
恵林寺までは工房から車で一時間とちょっと,
途中に笛吹川フルーツ公園もあります.
ここは閑古鳥しかいないとおちょくられている箱物スポットですが,
設計は長谷川逸子氏,「未来イメージ」から戦国時代にワープできます.
超多忙の日程が少し落ち着いたところで来工房をぜひ☆
by symplexus (2010-03-24 10:57)