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草間弥生の小説 [アート論]

ユミさんという方からコメントをいただきながら、
お返事をしそこなったので、ここに書きます。

by ユミ (2009-08-20 03:25)  

はじめまして、ARTSCAPEの「越後妻有ビエンナーレ」の記事を拝見した者です。(美術・芸術に関してましては、ほとんどシロウト同然です。)

芸術というフィールドより、卓越した見識を発する評論やブログを、今日はじめて読ませていただき、ややめまいを引き起こしているのが、今現在の正直なところではありますが、「越後妻有ビエンナーレ」記事の最後の方に、草間彌生さんの作品について論評があるのに接し、ぜひ彦坂尚嘉さんにこそ、(下記にリンクいたしました)画像ふたつの、御判定の如何内容を伺いたいと、切に感じ入りました。

ごく最近、「とても似ている」と思った、ふたつの画像です。


『 部屋の愉しみ(1979) 』有元利夫
http://www2.odn.ne.jp/~cco69970/index.html/Fukuoka11/Fig1/arimoto09.jpg


前衛芸術家・草間 彌生さん 肖像写真、ビデオレター(2009)
http://iida.jp/products/yayoi-kusama/

彦坂さんの評価軸ではあまりかんばしくない、妻有の「花」につきましては、同じく有元利夫さんの代表作『花降る日』をも、<芸術的記憶>の一部として勘案しつつ、拝見しているのですが、「なぜ似ているのか?」など巡りまして、御一考いただければ幸いです。

arimoto草間.jpg

























有本利夫           草間弥生

《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン  《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン  《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン  《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン

《想像界》の作品、固体美術。    《想像界》の作品、液体美術。

《気晴らしアート》《ローアート》     《気晴らしアート》《ローアート》
シニフィアン(記号表現)の美術。      シニフィアン(記号表現)の美術。
《原始平面》       《透視写真》
『ペンキ絵』【B級美術】      『深いイリュージョンの写真』【B級美術】

テーブルの前に座っているというのは、良くあるもので、
この共通性が先ずあります。
それと両者とも《第6次元 自然領域》のデザイン的エンターテイメント
なのです。この共通性はあります。
しかし違いもあるので、上の分析を見て下さい。
大きいのは有本利夫は固体美術、つまり前近代の美術です。
それに対して草間弥生は近代美術なのです。
両者とも、彦坂尚嘉が言う気体美術=情報化社会の芸術ではありません。



それと、先日より大阪で開催されている草間さんの展覧会『増殖する部屋』会場にていただいたミニポスターの裏に書かれてあった「詩」があります。

私もぱっと見は、「毒々しいスペクタクルな<花>」と思わないではありません。

そのような傾向を表面的には顕す作品群(絵画、版画、オブジェ)と、
きわめてcoolbeautyな「詩」との連関なども合わせて、お暇な時でかまいませんので、なにか感ずるところなどございましたら、どうぞよろしくお願い申し上げます。


I'm Here,but Nothing


はからずも私はここに居るのであった

だが、いつかその影は宇宙の果てに舞い上り

消滅してゆくという気配に驚いている

心の内側に秘められた虚しさか

人間に生まれてきたことへの虚しさか

だが、求道への絶えまないこの私の志と努力をもってして

虚しい地球上へ輝いた人類の愛たちを呼んでこよう

永遠に尽きることの無い平和と安らかさ

そのささやかな幸福の祭典のために

私は芸術と思想をまき散らして静かな日々を送りたいのだ

人間らしい全世界の人々と共に空虚の嵐を鎮めてしまおう

素晴らしい、そして神秘的な太陽や月たちといっしょに

生きながらえたいのだった

永遠に、たったそれだけのために命をかけて

そして祝杯をあげよう、いまこそ

華やいだ祈りを込めて!


草間彌生 16,July,2009

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草間弥生の詩の芸術分析

《想像界》の眼で《第1次元 社会的理性領域》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第6次元 自然領域》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第1次元 社会的理性領域》の《真性の芸術》

《想像界》の詩
液体の詩

《シリアス・アート》《ハイアート》

シニフィエ(記号内容)の詩
《透視詩》【A級詩】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

草間弥生の文章は、《第1次元 社会的理性領域》で、
かなり良いものです。
小説は、一つ私も読んでいますが、美術よりも良いです。
読んだのは、『マンハッタン自殺未遂常習犯』だと思うのですが、
ネットで見るとデザインが違います。
もしかすると、『クリストファー男娼窟』だったかもしれません。

つまり草間弥生の美術は《第6次元 自然領域》であったり、
《第21次元 愛欲領域》であったりするのですが、
文章は《第1次元 社会的理性領域》で、読めるのです。

同様の事はシュナーベルにも言えて、
美術作品は《第6次元 自然領域》ですが、
映画は《第1次元 社会的理性領域》の物で、
ズーと良いのです。

草間弥生に見られる様な現象は、ですから
起きえるのです。





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コメント 2

NO NAME

ご丁寧な解析をしていただき、ありがとうございました。

有元さんの絵画が「固体美術」であるということについては、多少はわかるのですが、おっしゃるところの「液体美術」と「気体美術」の違いを、正確に把握する観る目がなかったもので、前近代と近代、そして現代、という変遷を視野においての、今回の芸術分析は、今後の私の芸術鑑賞に際し、参考にさせていただくと共に、とても役立つものと思われます。

草間さんが「近代」である、というのは、30年近く前に「マンハッタン自殺未遂常習者(工作者刊)」をはじめて読んだ時に覚えた時の衝撃を、すばらしく適格に表現してある一言に思われました。

草間さんに関しては、好きか嫌いか、とかいうのではなく、
人生においての何かの分岐点のようなところで、ふっと彼女が現れることが多いので、そのことが私にとっての一体何を示すのか、その手がかりを知りたかったのかもしれません。

作品のレプリカが、キーホルダーで売られるような作家さんでは、到底なかったわけで、そういうブームについては、まだまだ「わからない派」ですが、そういう「わからない派」を飛び越しての現象には、少なからぬ興味はあったりいたします。

先日、「家族」の変遷をめぐっての記事を書いておられましたが、ぜひ今のうちに読んでみたい対談があるとすれば、それは「草間弥生×瀬戸内寂聴対談」です。

どんな内容になるか想像もつきませんが、ほんわかとした若者による<おばあちゃんブーム>に冷や水をあびせかけるような内容になることだけは、おおいに期待しています。

とりとめのない文章にて、失礼いたしました。
今後ともに、ご活躍をお祈り申し上げます。

by NO NAME (2009-08-25 00:29) 

ユミ

上記コメントに、名前の入力をし忘れました。
先日の質問者に間違いはありません。
by ユミ (2009-08-25 00:32) 

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