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明日の予定 [日記]



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建築家/手塚貴晴氏


越後妻有トリエンナーレも、
毎週金曜日に行って、日曜日に帰ってということを繰り返して、
田麦という村での作品は、ようやく今週で完成という段階です。

しかし今回はもう一つ松の山の坂下の作品があります。
これは廃屋を建築家の手塚貴晴さんが改修して
イタリアレストランにするというプロジェクトです。
ここに私が作品を5点入れるというもの。

つまり中くらいの作品を5点制作しなければならなかった訳で、
これにあてられる時間は、月火木の3日しかなかったのです。
これを5週繰り返して仕上げました。

それを昨日がんばって、集中して5点完成して、
とりあえず撮影して、車で武田友孝さんの家に、夜の11時に到着。

本日7月17日に武田友孝さんの車で、これから朝8時に出発して、
新宿で栃原さんという女性美術家と落ち合って、妻有に向かいます。


ようやく作品制作を間に合わせたので、
本日はいよいよ作品を持ち込んで、壁への設置となります。
これが大変そうなのです。

和室の土壁なので、私のウッドペティングという木の支持体の作品は、
やや重いので、支えられないのです。
そこで元東京スタジオの武田友孝さんの出番でありまして、
彼にがんばってもらう予定です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回の制作は、基本にあったのは、
作品をシニフィアンとシニフィエの同時表示で組み立てて行くという
問題でした。

実は、もともとそういう組立そのものにはたどり着いていたのですが、
今回は、このシニフィアンの構造と、シニフィエの表現を
逆立して積むということ。
これを初めて実現したのです。

逆立しても良いことに気がついたのは、
全くの偶然だったのですが、
やってみると、長年苦しんできていた統合が、実現したのです。

・・・・・・・・・・

芸術というものの構造と、観客の欲望というものは、実は矛盾するのです。
コレクターも観客も、実は本心は芸術を求めていなくて、
実体的なエンターテェイメントとデザインを求めているのです。

この矛盾というのは、
実は言語(=シーニュ)の解体として、出現したのです。
近代になると、物理科学が時代の知(エピステーメ)として
時代を支配先導した結果、
芸術は物質に還元される傾向の中で展開して行きました。
これがモダンアートの運動であって、
表現のシニフィエ性が増大する形で、タッチや絵の具の物質性が増大し、
最終的に、物質性を増大させた抽象物としてのミニマルアートになった
というのが、乱暴な美術史の図式になります。

こうした運動の中では、キッチュという通俗的な表現は禁止排除され、
今までにないと信じられる斬新さが希求されました。

そうした美術が大衆的には不評であった事が、
初期モダニズムの貴重な記録である
オルテガの『芸術の非人間化』に書かれています。

それに対して
キッチュを全面的に肯定して、
芸術の人間化を切り開いたのが、ジェフクーンズであったと
思います。

こう書くと、キッチュの復権が情報化社会の芸術であると誤解されますが、
実はそれほど簡単ではなかったのです。

問題なのは、そのキッチュさが、日本の草間弥生、前本彰子や森村泰昌では
作品のシニフィアン化という、古さの中でされているのです。

話が難しくなりますが、
ジェフジューンズで成立している表現の構造と、
草間弥生、前本彰子や森村泰昌の作品構造は、似て非なるものなのです。

この辺を丁寧に分析的に語る時間が今朝はないので、
はしょって言うと、
彦坂が今回試みているのは、
作品をシニフィアン化した水準で制作した上で、
その上にシニフィエを載せるのですが、
その時に、シニフィエとシニフィアンを逆立させる関係で積むという
手法なのです。

そうすると、何が変わるかというと、
作品が、普通の人にとって見やすくなるのです。
10人中8人の人は、世界をシニフィエ連鎖で了解しているのです。
シニフィエ連鎖というのを解りやすく言うと自然的な態度による常識的な
見方という事です。
この常識的な見方の視覚を、上部に載せる事で、
難解な芸術は、人間化して、常識で理解できるようになるのです。
正確には、なったように見せかける事ができるのです。

今回の彦坂の制作は、そういう意味で、
2重性の中での組織化の手法の進化なのです。

まあ、私の思惑通りに行くとは思いませんが、
自分では、芸術制作の手法としては、随分と成熟してきたように、
思っています。


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